トランス脂肪酸の害
トランス脂肪酸ってどんなもの?
トランス脂肪酸はとても不自然かつ危険な有害物質です。
主に以下の2つのプロセスで発生します。
❶マーガリンやショートニングをつくるプロセスで発生(硬化油)
❷大量生産の植物油をつくるプロセスで発生(食用植物油)
※天然に食品中に含まれているものもありますが、世界的に問題になっているのは❶❷のトランス脂肪酸です。
トランス脂肪酸は何に含まれているの?
「マーガリン」や「ショートニング」、それらを原材料に使ったパン、ケーキ、ドーナツなどの洋菓子、揚げ物に含まれます。
また、パッケージの原材料表示に「植物油脂」「加工油脂」「ファットスプレッド」と書かれていたら、トランス脂肪酸が含まれている可能性が高いと考えられます。
「キャノーラ油」、「サラダ油」、「コーン油」などの植物油も、安価なものの場合、脱臭の工程が入るため、トランス脂肪酸が含まれている可能性は高くなります。
トランス脂肪酸をとるとどんな問題があるの?
トランス脂肪酸との関連が報告されているおもな病気には、
・不妊症(男女ともに)
・子宮内膜症
・流産
・ADHD
・うつ
・糖尿病
・がん
・心臓病
・アルツハイマー型認知症
などがあります。
日本政府は子育てや不妊治療の支援に力を入れていますが、妊娠や出産の問題にもトランス脂肪酸が大きく関わっている事実を知るべきです。
とくに妊娠中は、大人よりもはるかに有害物質の悪影響を受けやすい胎児に重大な弊害を及ぼします。
妊婦はトランス脂肪酸を避けるようにしましょう。
トランス脂肪酸の規制はされていますか?
世界保健機関(WHO)は、各国政府に対し、トランス脂肪酸の低減を進めるよう呼びかけています。2018年には、5年以内(2023年まで)の世界全体での完全排除も主張しています。
その結果、世界各国では使用の規制や禁止、表示の義務化が進んでいます。
ところが残念ながら日本では、使用の規制や禁止、食品表示におけるトランス脂肪酸の表示義務はありません。
トランス脂肪酸に関する世界各国の具体的な取り組みを教えてください
各国の取り組みとして、大まかには以下の3つに分けられます。
❶食品への部分水素添加油脂の使用規制
(部分水素添加油脂の食品への使用を禁止。使用量の規制など。)
❷食品中のトランス脂肪酸濃度の上限値を設定
(100gあたりトランス脂肪酸〇g以上のものは流通できない)
❸加工食品中のトランス脂肪酸の含有量の表示義務
(加工食品にトランス脂肪酸〇g/100g、など表示)
日本でトランス脂肪酸が規制されていないのはなぜ?
内閣府食品安全委員会の発表で、現在の日本人の平均的な食生活において、トランス脂肪酸の摂取量は健康に悪影響を与えるものではないとの見解が出されているからです。
しかし日本でも、脂肪の多い食品の食べ過ぎ、偏った食事をしている場合などでは平均値を大きく上回る事も指摘されています。
最近ではトランス脂肪酸の低減策が進んでいるから問題ないのでは?
メーカーによるトランス脂肪酸低減のマーガリンやショートニングの開発が進み、それらを使用したパンやスイーツなどの食品のトランス脂肪酸含有量は減りつつあります。
しかしながら、減ってはいても決してゼロではないため、パン、ドーナツ、フライドポテト…と高リスク食品を大量に食べていればチリも積もればで、いつの間にかトランス脂肪酸が体内に蓄積されていることも。
また、トランス脂肪酸低減のために代わりに使用されるのは結局パーム油などの不健康な油です。
パーム油は飽和脂肪酸を多く含む油。
飽和脂肪酸の摂りすぎにより、血液中のLDLコレステロールが増加し、その結果、循環器疾患のリスクを増加させることが分かっています。
他にも、自主的にトランス脂肪酸含有量の表示や情報開示を行っているところもありますが、食品100g当たり(清涼飲料水等にあっては100ml当たり)のトランス脂肪酸の含有量が0.3g未満である場合には、0gと表示しても差し支えないため、0gと書いていても必ずしもゼロではない可能性があります。
企業努力もあり、ひと昔前よりは少なくなったものの、それでも日本の食生活には、いたる所にトランス脂肪酸がひそんでいます。でも、もし、食品表示におけるトランス脂肪酸含有量の表示を義務にすることができれば、私たちはその表示を手掛かりに、自分で選ぶことができるようになります。
JALNIはまず、トランス脂肪酸含有量の表示義務化の実現(100gあたり0.3g未満はゼロ表示ではなく正確な含有量の表示)に向けてメーカー、行政、消費者にさまざまな働きかけをおこなっています。
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